EMDRの初回面接で「未来」の解決イメージについて聞く意味


EMDRの初回面接では、生育歴や病歴、人によっては、過去に医療機関から投薬された薬物の投薬内容についてや、発達上の問題についてなど、いろいろなことをお尋ねします。お尋ねする中に、「未来」のこと、「フラッシュバックや不快感などが解決したときに、どうなっていたいのか?」をお尋ねすることを、標準的なEMDRのやり方としては推奨されています。weekend1,weekend2のトレーニング形式に移行してからは最初のトレーニングを受けたときにそう習ったと思います。EMDRは、「過去の出来事が現在に侵入する症状を治療することを通して、現在の生活をより豊かなものにし、未来に明るい展望が持てるようになること」までを治療の目標にしています。そこから「未来の鋳型」をつくって治療計画の中に織り込むために「未来」の解決イメージについて初回に聞いておくのです。セラピストによっては初回からクライエントに「未来」の解決イメージをクライエントに浮かべてもらって、ゆっくりした短い両側刺激を入れて「未来」の解決イメージを植えつける作業をする人もいるようです。治療終盤で、初回面接で聞いておいた「未来」の解決イメージを脱感作することもあります。

PTSDやトラウマ記憶のフラッシュバックを治療したい方の多くは、「未来」の解決イメージを考えることは、そんなに苦痛な体験になることはありません。むしろ侵入症状の苦痛から開放された未来をイメージすることが心地良い体験になることが多いです。

EMDRはフラッシュバックや悪夢を治すためだけのものと思われて治療に来られている方にとっては、初回面接で「未来」について尋ねられることに驚かれる方もいらっしゃいます。 非常に複雑な問題状況に現在おられるので、「未来」の解決イメージを考えることに強い苦痛を感じる方もおられます。この場合は、あまり未来のことについては聞けないこともあります。そうすると、治療計画の中に「未来」は入れられません。フラッシュバックの軽減や解消のみを目標にした治療にならざるをえません。「未来」の出口がはっきりしていない中で治療に入ると、治療の経過の中でクライエントにとって苦しい局面が訪れたときに、「どうして私だけがこんなに苦しい目に遭わないといけないんだ」と、治療に疑問を感じられる方もおられます。こうしたことから、「未来」を治療計画に入れられないクライエントにはEMDRではなくて、催眠療法などの他の治療法をご提案させていただくことがあります。

 

 

 

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